温度計センサーを博物館で利用する場合は、安全な所蔵物の管理を行うことができるため非常に有効なものであることを認識する反面、そのシステム全体の管理を適切に行うことを意識しなければなりません。すなわち細かな部分での作業者の負担軽減を実現することはできても、その責任や負荷がシステム管理者に及んでしまうことを十分に認識することが必要です。博物館は一般的には重要な所蔵物を保管していることから、内部の温度や湿度は非常に厳格に管理されています。ケースの中には温度計湿度計が設置され、これを定期的に係員がチェックすることで常に理想的な状態であることを確認し、万が一問題が生じた場合には所蔵物を安全なところに移動するなど、様々な対象状況に応じて実現しているのが実態です。

しかしその管理を行うためには様々な労力を必要とし、そのための経費もかかるものとなっていました。温度計センサーを導入することで万が一規定値以上の状態にガラスケース等の温度がなったときには、自動的に接続されたシステムがこれを是正する動作を行うことができるのが特徴です。温度が上昇した場合には空調が稼働し適正な温度になるように調整したり、係員に現場への駆けつけを促すような警報を鳴動させるなど、管理方法によって様々な動作をスムーズに実現することができるのがメリットとなっています。しかし、最終的な安全確認は人間が行うことが理想的です。

そのため、温度計センサーが広く利用されるようになった現在でも、人の手による温度管理が継続されているところが多いのが実態となっています。