食中毒はサルモネラ菌や黄色ブドウ球菌、腸管出血性大腸菌やノロウイルスなどが原因で起こります。一般的に細菌は気温が高くなる6月から9月頃に繁殖し、ウイルスは気温が低くなる11月から3月頃に流行します。細菌やウイルスが食品に付着して食中毒を引き起こすのを防ぐためには、適切な衛生管理が必要です。危険な細菌やウイルスの多くは熱に弱いため加熱処理をすれば基本的に問題ありません。

しかし黄色ブドウ球菌のように熱に強い毒素を生み出すタイプも存在します。細菌は条件が揃うと食品中で繁殖しますが、ウイルスが食品中で繁殖することはありません。いずれも基本的に熱に弱いという性質があるものの、加熱後に調理スタッフの手などを介して食品に付着することがあります。細菌やウイルス、熱に強い毒素などが加熱処理後に付着するのを防ぐには総合的な衛生管理が必要です。

食品の総合的な衛生管理によって安全性を高めるため、多くの企業がHACCPを採用しています。HACCPとはハサップやハセップと呼ばれる衛生管理手法で、原材料の仕入れから出荷までの全工程を細分化してリスク管理が行われます。微生物や化学物質、異物など健康被害をもたらす危害要因には様々なものが存在します。HACCPでは個々の危害要因による健康被害を予測した上で適切な管理方法を定めす。

この衛生管理手法では健康被害の防止につながる加熱などの工程が重要管理点とされます。重要管理点では他の工程よりも厳格な基準を適用し、連続的かつ継続的な監視と記録を行います。HACCPを採用して事業所全体で衛生管理を行えば、効果的に食品の安全を守ることができます。